東京高等裁判所 昭和26年(ネ)2493号 判決
控訴人は原審において被控訴人が昭和二十一年中本件土地に控訴の趣旨記載のような家屋を建築してその敷地として右土地を占有していると主張し、この事実は被控訴人の認めたものであるところ、当審において控訴人は右「昭和二十一年中」との事実の主張を撤回するというので、右撤回が許されるかどうかについて検討するに、本来控訴人としては、被控訴人が本件土地に家屋を建築所有して現に土地を占有していることだけを主張すれば足りそれが昭和二十一年中であることは主張責任のない事項であるが一方被控訴人は本件土地を権原により占有するものであることを主張するものであるから、それが昭和二十一年中以来のものであることはむしろ被控訴人に有利な事実であつて、従つてまた控訴人には不利な事実であるといわなければならない。すなわち控訴人の右の点に関する陳述は一の自白(いわゆる先行自白)であるから、これが撤回は相手方の同意がない限りは、右陳述が真実に反しかつ錯誤にもとずくものでなければならない。しかるにこの点については控訴人はなんら立証しないから、結局右主張の撤回は許すべきものではない。